自宅でもできそう!マイナス20℃の魔法? 六甲山牧場でフローズンヨーグルト作り

手作り出来立てフローズンヨーグルト(写真:筆者)
手作り出来立てフローズンヨーグルト(写真:筆者)

「すごい、どんどん固まる! アイスだ、アイスだ!」

ボウルについたアイスをバリバリ剥(は)がす。—これ、理科の実験?
いえ、れっきとしたフローズンヨーグルト作りです。

この体験ができるのは「神戸市立六甲山(ろっこうさん)牧場」(以下、六甲山牧場)。

神戸の市街地から車で約30〜40分、六甲山の上にある観光牧場です。
標高750mなので市街地より気温が約5℃低く、夏でも軽めの上着があると安心の高原です。

神戸市立六甲山牧場
神戸市立六甲山牧場(写真:筆者)

六甲山牧場には、動物とふれあうだけでなく、さまざまな「体験」ができる施設があります。
今回挑戦したのは、フローズンヨーグルト作り

案内されたのは、学校の家庭科室を思わせる懐かしい雰囲気の部屋。
エプロンを付けて、さあスタートです。

冷凍庫いらず!牧場のしぼりたてミルクで作る、フローズンヨーグルト体験

フローズンヨーグルトの材料(左から砂糖、生クリーム、ヨーグルト)(写真:筆者)
フローズンヨーグルトの材料(左から砂糖、生クリーム、ヨーグルト)
(写真:筆者)

まず驚くのが、材料のシンプルさです。
調理台に並んでいるのは、ヨーグルト、生クリーム、グラニュー糖—以上。

「え、これだけ?」と思わず声が出ます。

でも、このヨーグルトが、ただものではありません。
敷地内のチーズ工場で、牧場の牛乳100%から作られた新鮮なオリジナル品

シンプルだからこそ、素材のよさがそのまま味になる。そう思うと、ボウルを手に取る前から期待が高まりました。

フローズンヨーグルトは2人分から体験可能(写真:筆者)
フローズンヨーグルトは2人分から体験可能
(写真:筆者)

工程はこうです。

まず、ヨーグルト300g、生クリーム50cc、グラニュー糖40g—2人分の材料をそれぞれ計量します。
たったこれだけの材料が、このあとどんな姿に変わるのか。

計りながら、じわじわと楽しみが湧き上がってきます。     

氷の入ったボウルの上で材料を混ぜる(写真:筆者)
氷の入ったボウルの上で材料を混ぜる
(写真:筆者)

計量した材料をボウルに入れ、均一になるまでしっかり混ぜます。

泡立て器がボウルのふちに当たって、コツコツという音が響きます。ここまでは一般的なお菓子作りと同じです。

氷に塩を入れ、手で混ぜる(写真:筆者)
氷に塩を入れ、手で混ぜる(写真:筆者)

ここからが、フローズンヨーグルト作りの楽しい本番です。 

材料を入れたボウルを一旦横におきます。
大きいボウルの氷に、塩を3:1の割合で入れます

そして手で混ぜます。

「めっちゃ冷たい!」。
予想はしていたのに、思わず声が出ました。

氷と塩が合わさることでマイナス20℃近くまで温度が低下!冷たさは我慢です。

【ご注意ください】 氷に塩を混ぜると非常に低温になります。凍傷防止のため、なるべく厚手のゴム手袋等を着用してください。お子さまは保護者の見守りのもと行ってください。
ボウルに入った材料をまた混ぜる(写真:筆者)
ボウルに入った材料をまた混ぜる(写真:筆者)

また材料が入ったボウルを大きいボウルの上に戻し、片手で上のボウルを回しながら、もう一方の手で材料も混ぜます

くるくるシャカシャカ。

最初は液体を混ぜているだけでしたが、しばらくすると、ボウルの内側の壁面にうっすら白い膜が張りはじめます。

「あ、変わってきた」—その小さな変化で、なんだかうれしくなります。

次第にボウルの表面に霜がつく(写真:筆者)
次第にボウルの表面に霜がつく(写真:筆者)

ボウルの温度がさらに下がってきて、外側の表面に霜がつきはじめました。
まるで冷凍庫の中のような見た目に。
手に伝わる冷たさも、増してきます。

ボウルの側面からヘラで削ぎ取る(写真:筆者)
ボウルの側面からヘラで削ぎ取る(写真:筆者)

すると、ボウルの内側の壁面に白い膜が張り始めました。
それをヘラで削って全体に混ぜ、またくるくるまわします

削って、混ぜて、回す。

同じ動作をくり返すうちに、液体だった材料はみるみる姿を変えていきます。
さっきまでとろりとしていたものが、少しずつ固まっていく。
その変化が手ごたえとして伝わってきて、手が止められなくなります。

さらに材料が固まってくる(写真:筆者)
さらに材料が固まってくる(写真:筆者)

ザクザク、ザクザク。

気づけば液体はほぼなくなり、全体がしっかりと固まってきました。
ヘラを入れるたびに手に伝わる、この削りごたえ。
少し、職人気分です。

ちなみに、夏も冬も工程はまったく同じ。
季節に関係なく、氷と塩の力だけで材料を冷やして凍らせる温度を作り出します。

ボウルのアイスをカップに入れて完成!(写真:筆者)
ボウルのアイスをカップに入れて完成!(写真:筆者)

「ふわっとしてる!」「お店で出てくるやつだ!」

仕上がったフローズンヨーグルトは、空気をたっぷり含んでやわらかく膨らんでいました。あの液体が、ここまで変わるとは。達成感と、早く食べたい気持ちが同時にやってきます。

シンプルですが、新鮮なヨーグルトを使って自分で作るフローズンヨーグルトは格別(写真:筆者)
シンプルですが、新鮮なヨーグルトを使って
自分で作るフローズンヨーグルトは格別
(写真:筆者)

できたてをスプーンですくって、ひとくち。

さわやかなヨーグルトの風味がふわっと広がって、後味はさっぱり。
甘さは控えめで、ヨーグルトの酸味がちゃんと生きています。

濃厚なミルクアイスとは違う、軽やかなおいしさです。
「これ、何個でも食べられる」と思ったころには、カップの底が見えていました。

子どもは目を輝かせ、大人も思わず笑顔になる—家族みんなで盛り上がれる体験です。

これが、マイナス20℃のひみつ

ちょっとだけ、理科の時間です。

溶け始めた氷だけでは0℃にしかなりませんが、塩を加えると「凝固点降下」という現象が起きて、溶けながら周囲の熱を大量に奪います。

塩を氷に対して3分の1混ぜると、温度はマイナス20℃近くまで下がります
冷凍庫いらず。

氷と塩だけでアイスが作れるのは、この原理です。

仕組みを知ると、あの「めっちゃ冷たい!」の洗礼にも納得がいきます。
「へぇ!塩の力ってすごい!」とうなりながら食べると、おいしさが増す気がします。

材料と氷と塩を準備すれば、家庭でも再現できそうです!

氷と塩を混ぜる、手に過酷な作業(写真:筆者)氷に塩を混ぜると非常に低温になります。 凍傷防止のため、なるべく厚手のゴム手袋等を着用してください。 お子さまは保護者の見守りのもと行ってください。
氷と塩を混ぜる、手に過酷な作業(写真:筆者)
【ご注意ください】 氷に塩を混ぜると非常に低温になります。凍傷防止のため、なるべく厚手のゴム手袋等を着用してください。お子さまは保護者の見守りのもと行ってください。

かわいい牧場の住人たちに会いに

フローズンヨーグルトを食べ終えて、牧場のなかをのんびり散歩してみました。
ある柵の前を通りかかると、こちらに視線を送っている牛が1頭。

「あ!『ランボルギーニ』だ!」

牛舎で過ごす牛、名前は「ランボルギーニ」(写真:筆者)
牛舎で過ごす牛、名前は「ランボルギーニ」(写真:筆者)

実は有名な牛で、私も存在は知っていました。だから実際に目の前にすると興奮が止まりません。

この「ランボルギーニ」は、「自分を馬だと思っている」メスの牛(ホルスタイン種)だそうです。

生後3か月までは牛舎で育ち、離乳のタイミングで馬舎へ移りました。
それからずっと馬に囲まれて成長したため、すっかり馬グループの一員になっています。

人懐っこい性格で、「乗牛」もできるとのこと。
その堂々としたたたずまいを眺めながら、思わず笑みが込み上げてきました。

馬たちに混じって、こちらをじっと興味深そうに見つめている姿がとても愛らしく感じました。

ちょこっと木の影から顔を覗(のぞ)かせる羊(写真:筆者)
ちょこっと木の影から顔を覗(のぞ)かせる羊(写真:筆者)

牛だけじゃありません。馬、羊、ヤギも暮らしています。
木のかげからひょっこりこちらを覗(のぞ)く羊と、ふと目が合いました。

夕方羊舎に向かう羊たち(写真:筆者)
夕方羊舎に向かう羊たち(写真:筆者)

夕方になると、牧場中で自由にしていた羊たちが、一斉に集まってきました。その数、おおよそ150頭。

ばらばらだったはずの羊が、示し合わせたようにぞろぞろと集まってくる光景は、なんともユーモラスで、しばらく目が離せませんでした。

動物たちのいる牧場の空気を十分に味わって、気持ちものんびりしました。


後編では、この牧場のしぼりたてミルクが姿を変えた先をたどります。

受賞歴を持つカマンベールチーズが生まれるチーズ工房への潜入、そして搾乳(さくにゅう:ミルクをしぼること)体験で思わず「あったかい!」と声が出るあの感動を、ご紹介します。


【取材協力】神戸市立六甲山牧場
  所在地: 〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町中一里山1−1
  電話番号:078-891-0280   
  HP:https://rokkosan.jp/

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