【前編】ひと手間でお店の味に!酪農家の朝ごはんレシピを、おうちで作ってみた

ミルクをしぼる人は、毎朝どんなものを食べているんだろう。

ふと気になって調べてみたら、佐賀県嬉野市(うれしのし)の酪農家・中島大貴さんが、ブログに朝ごはんの記録を載せていました。

自家製チーズに、しぼりたてのミルク。
おいしそうな食卓風景が、ずらり。

「酪農家の朝ごはん」

なんだか、いい響きです。
家でも真似できたらいいなと思って、レシピを教わりに行くことにしました。

嬉野で唯一の酪農家、ナカシマファーム

佐賀県嬉野市塩田町(しおたちょう)。
お茶で有名なこの町に、たった1軒だけある酪農家ナカシマファームです。

3代目の中島さんは、ちょっと変わった経歴の持ち主。

大学では建築を学び、そのあと家業を継いで、チーズ作りを独学でスタート。
今では約100頭の牛を育てながら、牛のごはんになる米や麦まで自分たちで作っています。
さらに、チーズ作りのときに出る「ホエイ(乳清)」を活かしたブラウンチーズの商品化に早くから取り組んだ人でもあるんです。

中島さんにとって朝ごはんは、ただの食事ではないらしいのです。

「3食って楽しむ場でもあるし、仕事の点から見ると研究の場なんですよ」

ごはんを食べながら「このアイデア、試してみよう」と手を動かす。
ナカシマファームの人気メニューは、そうやって毎日の食卓から生まれてきたのだそうです。

酪農家の朝ごはん 

この日、中島さんがまず作ってくれたのは、はちみつバタートースト

といっても、ただのトーストではありません

コツは、焼く前にパンの表面へ切れ込みを入れること。
そして、まず1分ほど、何ものせずに焼きます。
すると切れ込みの部分が開いて角が立ち、そこがカリッとしてくるんです。
その状態でバターをたっぷりのせて、もう一度焼きます。
仕上げに、はちみつをかけて完成です。

「溶けながら、中に入っていくんですよ。だから、カリカリとジュワッが、両方残る」

なるほど、断面のカリカリと、染み込んだバターのジュワ。
ひと手間で「カリカリジュワ」が同時に叶うんですね。

この切れ込みのワザは、ピザトーストでも、ハムやチーズをのせるときでも使えるそうで、ソースが染みてもベチャッとなりません。

聞いているだけで、お腹が空いてきます。

   

そしてもう一品、嬉野でカフェも経営するナカシマファームの看板ドリンク「Milk Brew※」

2018年に、中島さんが福岡の『ROASTERY MANLY COFFEE』と一緒に作ったドリンクです。
しぼりたてのミルクに、浅煎りのコーヒー豆を長時間漬け込んで抽出する、ミルクが主役の一杯です。

※Milk Brewは有限会社ナカシマファームの登録商標です(第5915553号、2026年現在)

このMilk Brew、なんと家でも作れるのだそう。
もちろん、しぼりたてのミルクは手に入らないので、市販のミルクでおいしくできるコツを教えてもらいました。

「ドリップバッグのコーヒーを、パカっと開けて、粉のまま牛乳に入れて。あとは茶こしでこすだけ。ほんと簡単。どこでもできる」

牛乳500mlに、コーヒー1パックくらい。
冷蔵庫で2〜3時間おけば、しっかり味が出ます。浅煎りが基本だけど、苦手な人もいるから、そこは好みでいいのだそう。

「ただ、Milk Brewのおいしさは、その人自身が研究しないと、たどり着かないですけどね」

そう言って、中島さんは笑います。

どの牛乳を使うか、どのコーヒーを合わせるかで、味が変わる。
簡単に作れるけれど、"おいしい"にたどり着くには、研究が必要なんです。自分好みの組み合わせを探すのも、楽しみのひとつですね。

このMilk Brew、そのまま飲むのはもちろん、中島さんのおすすめは「グラノーラにかける」食べ方

「いつものグラノーラやシリアルが、ちょっと特別になるんですよ」と中島さん。

大切にしているのは、きっと、この感覚です。

「日常の食のなかに、わざわざ特別なものを取り入れたり買ってこなくても、ちょっとした工夫でお家時間が、ちょっといい時間になる。どこにでもあるものを、ちょっとだけ、キラッと輝かせる」

特別な材料はいりません。
いつもの朝ごはんに、ほんのひと手間足すだけで、食卓は豊かになる

この日、中島さんが教えてくれたレシピに使う材料は、家にあるものばかりでした。

― 中島さんに教わった朝ごはんレシピ ―

中島さんに教わった朝ごはんの作り方を、まとめておきます。作ってみてくださいね!

【レシピ1】はちみつバタートースト
 
💡ポイントは「切れ込み」と「2度焼き」。
 
1. 食パンの表面に、切れ込みを入れる(下まで切らず、浅めでOK) 2. 何ものせず、トースターで1分ほど焼く 3. 切れ込みが開いて、角がカリッとしてきたら、いったん取り出す 4. バターをたっぷり塗って、もう一度焼く(先にバターだけ溶かすイメージ) 5. 仕上げに、はちみつをかけて、できあがり

【レシピ2】チーズトースト
 
💡コツは、とにかく「チーズをたっぷり」。
 
1. 食パンに切れ込みを入れ、1分ほど焼く(レシピ1と同じ下ごしらえ) 2. バターを塗り、チーズをこんもりのせる(スライス1枚ではなく、たっぷりと) 3. もう一度焼いて、チーズが溶けたら完成

【レシピ3】Milk Brew
 
💛ナカシマファームの看板ドリンクを、家庭版で。
 
1. ドリップバッグのコーヒーを開け、粉を牛乳に入れる(牛乳500mlにコーヒー1パックが目安) 2. ラップをして、冷蔵庫で2〜3時間おく 3. 茶こしで濾(こ)す(粉が気になる人はドリッパーでも)

さっそく、家で作ってみた

教わったレシピを、さっそく家で試してみます。

土曜の朝、同じマンションの友人宅におじゃまして、中島さん直伝のトーストを振る舞うことにしました。

チーズトースト&はちみつバタートースト

食パンに切り込みを入れます。下まで切ってしまわないよう、程よい深さで。
一度トースターで焼くと、切り込みが開いて、こんがりしてきました。

これが、中島さんが言っていた「パンが開いている状態」です。
焼き加減はお好みで良いらしいので、少し焼き色がつくくらいで取り出してみました。

一度焼いたパンにバターを塗って、再び焼きます。
チーズトーストは、バターを塗ってチーズをこんもりのせて焼きます。

トースターからバターやチーズの香りが漂ってくると、「まだ?」と子どもたちが寄ってきます。

チン。

バターはジュワジュワ、チーズがとろとろしています。

まずは、チーズトーストをひとくち。

いつものとは食感が、ぜんぜんちがう!

カリッとサクッとしたパンに、トロッととろけるチーズがたまりません。
パンの2度焼きと、たっぷりチーズの効果ではないでしょうか。

いろんな食感が同居していることで、"おいしい"は生まれるのかもしれません。

6枚切りの薄めのパンは、サクサクとあっという間に食べてしまいました。

いっしょに焼いたバタートーストには、はちみつをかけていただきます。

「うわー!パンがカリふわ。バターがジュワッ。お店で食べてるみたい」

友人ママが、思わず食レポ。
2度焼きしたパンがいい仕事をしています。

スーパーで買ってきた材料なのに、お家ごはんのレベルが一気に上がった感じがします。

「なんか、ぜいたくな気分だね」と友人。
「また、これ食べたい、作って」と子どもたち。

ポイントは、パンに切り込み2度焼きたっぷりチーズ。覚えておきましょう。

ちなみに、欲張ってチーズを倍量のせたら、トースターの網に流れ落ちました。
たっぷりといっても、ほどがあることも覚えておきたいところです。

Milk Brew

そして、おうちで作る「Milk Brew」。

トーストを焼いている間に、いつも家で飲んでいるコーヒー豆をミルで挽いて、スーパーで買ってきた牛乳500mlと混ぜておきます。

……思っていた以上に、混ざりません。コーヒーが上に浮いてきます。

これでいいの?と不安になりつつ、ラップをして冷蔵庫へ。

1時間経っても、まだ浮いていました。でも、コーヒーの色はちゃんと出ています。
茶こしで濾すと、細かい粉が残りました。
試しにドリッパーで濾してみると、いつものコーヒーより時間はかかるけど、きれいに濾せました。

口当たりが気になる人は、ドリッパーを使ってみると良さそうです。
ちなみに、混ぜたものを1日置いてみると、翌朝にはコーヒーも沈んでいました。

さて、お味は?

いつも家で飲んでいる深煎りの豆で試してみました。

ほのかにコーヒーの香り。
飲んでみると、舌に少しコーヒーの苦味を感じます。
いつものカフェオレよりも、もっとマイルドな印象です。

正直、中島さんのお店で飲んだ方がフルーティな味わいがして、私好みでした。
そういえば、中島さんのおすすめは、浅煎り豆。

お店で売られている、ドリップコーヒーの詰め合わせで、いろいろ試してみたくなりました。

グラノーラにもかけてみました。

これはぜひ、試してみてほしい!

いつものミルクに、コーヒーの風味が加わることで、ちょっぴりぜいたくな気分になります。

ひと手間の力って、すごい

牛さんのめぐみ、いただきます

近所のお店で手に入る材料で作る、おいしい朝ごはん。

そのひと手間の時間に生まれるのは、牛さんへの感謝です。
素材をおいしくいただくというのは、そういうことなのかもしれません。

忙しい日常では、つい時短を優先してしまいます。
でも、たまには、ひと手間かけられる朝ごはんの時間を過ごしたいものです。

素材そのものがおいしいから、レシピはシンプルでいい。
それが酪農家の朝ごはんでした。

酪農家の食卓をのぞかせてもらったあと、いま中島さんが取り組んでいる経産牛のプロジェクトについても教えてもらいました。

酪農家のもとで、ミルクをしぼる役割を終えた牛は、どこへ向かうのでしょうか。


🌐ナカシマファーム 佐賀県嬉野市塩田町大字真崎1488

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