新鮮なミルクがモッツァレラチーズになる瞬間をウォッチしてきた!
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滋賀県・信楽(しがらき)にある山田牧場では、牧場でしぼったミルクを使い、チーズづくりまで一貫して行われています。今回は、その中でも代表的なモッツァレラチーズづくりを見学してきました。
「牛乳って、こんなふうに変わるんだ!」と驚きがいっぱいでした。
モッツァレラチーズが生まれるところを追っていきますね。

しぼりたてミルクが、モッツァレラチーズになるまで
工房に入ると、まず目に入ったのは「チーズバット」と呼ばれるお風呂のような機械です。
一度に約300リットルのミルクを入れることができます。
まず隣の牛舎から運ばれてきたしぼりたての生乳を65℃で30分間、低温殺菌を行います。
そこに乳酸菌を加え、その後レンネットを入れてから30分置くと、プルプルのプリンのようなものができあがります。
それを細かくカットしてから混ぜると、白い固まりの「カード」と、乳白色の液体「ホエイ」に分かれます。
取材時は上記の工程を終わっていましたが、ほんの数時間前まで、ここで生乳が姿を変えていたのだと思うと、チーズ好きの私は自然と想像がふくらみました。

ジャーン!
これが出来立てほやほやのフレッシュチーズ(チーズになる前段階)、「カード」です。
食べるとキュッとした歯ごたえがあるそうです。
一方の「ホエイ」は、「リコッタ」というチーズに活用されるなど、余すところなく生乳は使われています。

カードを細かく刻みます。木綿豆腐くらいの硬さの印象でした。

カードを刻んだら、大きなお鍋に入れてさらに細かく、手でほぐします。

今度は寸胴鍋にたっぷりの水を90℃に沸かし、塩を1.8%になるように溶かします。

この塩水を先ほど手でほぐした「カード」の鍋に入れて、木べらでゆっくり動かします。「カード」がだんだん柔らかく、とろ〜っと変化してきます。

木べらで混ぜては持ち上げると、ゴムのように伸びはじめます。この持ち上げる作業を5回ほど繰り返します。

するとどうでしょう……先ほどまで粗かった表面から一転、むきたての卵のようなツルツルの表面に様変わり!

今度は両手で生地を持ち上げて、空気が入らないように折りたたみます。
ちなみに、お湯もチーズも熱々です。薄い手袋だけで扱っている山田さん、すごい!

そして、直径7cmくらいに丸めて、ちぎります。

冷水で締めると、モッツァレラチーズの完成です。
出来立てを試食させてもらうと、キュッとした弾力のあとに、やさしい牛乳の風味が残りました。
普段何気なく口にしているミルクが、人の手と時間を経てチーズへと変わっていく。その丁寧な工程の先に、この味があるのだと改めて感じました。
また、作業の合間に見せる山田さんの表情も印象的でした。
多くを語らなくても、その手つきやまなざしから、ミルクと真剣に向き合ってきた歴史が伝わってきます。
山田牧場のチーズが広げる、新しい可能性

「第15回 ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」でラクレットが農林水産大臣賞を受賞
山田牧場では現在、15種類のチーズを製造しています。
2025年10月「第15回 ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」でラクレットが農林水産大臣賞を受賞しました。
「私が一番驚きました」と控えめに話す山田さんですが、日頃からさまざまな挑戦をされています。
現在は、47都道府県の特徴ある食材からとれる乳酸菌を活かして、チーズを作る取り組みもそのひとつ。

滋賀県の特産品、鮒寿司の乳酸菌を使った「琵琶のトト」は、2022年イギリスのウェールズで開催された「ワールドチーズアワード」で銀賞を受賞しました。
現在は、京都の「すぐき」、和歌山の「梅干し」などの乳酸菌を使用して試作されています。これから全国都道府県、また世界各国の食材と山田牧場のミルクを合わせていきたいと壮大な夢を語ってくれました。
山田牧場は京都で始まり50年、信楽に移動して50年、2025年で100年という長い歴史があります。
後編は、山田さんが、どんな思いで牧場を続けてきたのか、その背景にある物語をもう少し深く聞いてみたいと思います。
【取材協力】
🌐山田牧場 〒529-1812 滋賀県甲賀市信楽町神山2077




