【百年酪農PLUS+】ついに始まる農場実習【vol.4】
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農業高校へ入学して、早くも1週間がたちました。何となく過ごさせてもらった義務教育最後の中学生時代とは大違い。
そう。ここは高等学校。
自分で選んで、希望して進学した学校なのだということを、毎日痛感しながら過ごしていました。当然の事かもしれませんが、ここ農業高校は、普通科の高校とは違い、社会に出て農業者として即戦力となるための職業基礎を学ぶ高校なのです。
高校に進学して浮かれた気持ちをピシッと正すかのように、「相手にとどくあいさつ」「時間厳守」「整理整頓」をこれでもかというくらい厳しく指導してもらいました。
これまでは、幼稚園時代から何度も大人に言われてきた「何となく大切な約束ごと」として習慣化していましたが、みんなで協力して取り組み、より大きな成果を得るために必要な事として、はじめて認識しました。
そして、まだまだなれない寮生活でも、「寮生は在学生をリードする存在」として、「言われたからやる」のではなく、「自分の頭で理解し、考え、主体的に取り組む」ことを求められました。
私は、これらの事が、「一人の大人として扱うぞ」と言われている気がして、「自立して生きていけるようになるためにしっかりしなくては。」と、言い表せない高揚感で満たされていくのを感じていました。
そしてついに、夢の農場実習の日がやってきました。
汚れもしわもついていない、ピカピカの作業服に急いで着替え、校舎から1km弱離れた農場まで休憩時間内に移動をしなければいけません。
距離があるから授業の開始はおそくなる。そんなことはないのです。
10分前行動開始、5分前行動完了は鉄則。
身だしなみを整え、まっさらなメモ帳と、ボールペン。よしっ!モーダッシュです。
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なんとか授業が開始する前に農場に到着すると、点呼に大きな声であいさつ。いよいよ実習が始まりました。
1年生の間は、乳牛、肉牛、養豚、養鶏を毎週ローテーションで学んでいきます。
出席番号2番(ちょっと悔しい)の私は、第1班。乳牛からスタートです!
実家が農家ではなかった自分にとってはすべてが初めてで、先生が話す内容ももちろん初めて。あっという間に真新しいメモ帳が文字や絵で埋まっていきます。とてもメモが追い付きません。
これまでまともにメモを取ったこともなかったのに、一言一句書きとめようとするから無理もありません。
でもそれでいいんです。のちのち、メモの取り方も覚えていくのです。
初めて触れる乳牛は、私が生きてきた中で触れた動物の中でいちばん大きくて、なんか固くて、重く感じました。
それでも私が不思議と恐怖を感じなかったのは、生き物が苦手ではなかっただけでは無いように思います。
「まずは、それぞれ担当する牛のブラッシングから!ちゃんと牛の事を見て、牛の為にブラッシングをするように!」
私は、手に収まらないとても大きなブラシを右手に、牛舎につながれた牛のそばへ後ろから近づきます。
牛がどういう動きをする生き物なのか、私にはまだ想像できていません。
じっと顔は前に向けて口を動かしつつも、どうやら片目で後方の私を捉えていそう。
集中なのか緊張なのか、私はギューッと視野が狭くなり、同級生やほかの牛の存在が意識から消えていきました。
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2026年現在、個性と多様性を大事にする社会となっていますが、私が高校に進学した2000年ころは、個性が尊重されつつ、集団や社会の中でそれをどう表現するかをしっかり教えてもらえていたように思います。
人は一人では生きられないこと。
取り巻く環境や人間社会を、全員が意識し整えてこそ、個人の自由が表現できること。
そのために必要な「あいさつ」「時間」「整理」。これらの重要さを本当の意味で肌身に感じるようになったのは、社会に出てずいぶん時間が経ってからの事です。なんなら、今だって感じているくらいです。
現代において「大人や先輩の言うことは聞くもの」なんてものは、ハラスメントとも捉えられる古い価値観かもしれません。
しかし、時間が経ってようやく理解できる、浅はかな思考の私にとって、それらは私を思って厳しくしてくれた「導き」だったんだと思えることも増えてきました。
次回!『ちょま、酪農しんど!思ってたんと違う!』
青沼、早速の挫折(ざせつ)!?おたのしみに!
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