町工場×酪農のサステナブルなコラボ!防熱扉メーカーが始めた“おがくず”循環プロジェクト

はーい、自称「酪農リスペクター」のミルカウ姐でーす。

みなさん、「おがくず」って見たことありますか?

木を切ったり削ったりするときに出る、あの細かい「木くず」のことです。

これが「おがくず」
これが「おがくず」

木材を使って「モノづくり」をする町工場では、モノをつくる時に大量に「おがくず」が出るのだそう。

この「おがくず」、町工場では再活用がかなわず、“ごみ”になってしまいます。

これが「おがくず」

これが「おがくず」

「おがくず」はきのこ栽培で培地に使われたり、圧力をかけて固め、発熱用の燃料としてリサイクルする例があるそう。

でも、「おがくず」が“香りがよくて品質が高い国産天然ヒノキから出てきたもの”だったら…ほかに良い活用方法はないかな~と悩んでしまいませんか?

そんな想いから始まった、「おがくず」の酪農への活用。

牛たちの快適なベッドになって、地域のサステナブルに貢献しています!

酪農コラボは、畜産を経験した若手のひとことがヒント!

大阪府堺市の岸産業株式会社(岸産業さんと呼びます)は、冷蔵・冷凍倉庫の防熱扉などを受注生産している町工場。

岸産業さんの作業場

作業のたびに毎月100kg以上の「おがくず」が出て、“ごみ”処理にもお金がかかる日々。

「捨てるだけではもったいない。これ、何かに使えないかな?」と社長はずっと考えていたそうです。

そんなとき、前職で畜産を経験したことがある若手から「畜産や酪農では『おがくず』が重宝されている」という意見からヒントが浮上。

そうなんです!

「おがくず」や「おが粉(おがくずよりさらに細かい)」は水分をよく吸う性質があるので、畜産では牛舎の床に敷いて使う、「敷料(しきりょう)」として活用されるのです(ふん尿💩には水分があるからね)。

床に敷いているのが敷料(しきりょう)
床に敷いているのが敷料(しきりょう)

この敷料、使う量が半端じゃないんですよー。

特に酪農では、床が不衛生だと乳房炎という病気が牛に起きやすく、生乳の品質や牛の健康に影響してしまうので、清潔な環境を保つことがすごく重要なポイント。

特に冬時季になると、気温が上がらず乾きづらいのも難点。

そこで牧場では、ひんぱんに敷料を入れ替え、清潔を保っています。

なので、清潔な「おがくず」は、たくさんあればあるほどいい

大量に必要なので、安く入手できるなら、なおいい

岸産業さんで扱う木材は、食品工場用途の扉が多く、衛生的で、品質が良いスギやヒノキが中心。

何よりスギもヒノキも、香りがいい。

牛の寝床にピッタリじゃないか!ということで、さっそく動き出しはじめたそうです。

トラックに積まれた「おがくず」
トラックに積まれた「おがくず」

牧場との出会い

そこで出会ったのが、奈良県奈良市の植村牧場株式会社(植村牧場さんと呼びます)。

実は植村牧場さんでは、林業の衰退や製材所の減少で「おがくず」の調達が年々大変になっていたそう。

奈良県 植村牧場さんの牛舎
植村牧場さんの牛舎 宮大工さんが牛舎を修繕したそうで、美しい・・・!
岸産業さんから運んできた“おがくず”
岸産業さんから運んできた「おがくず」

岸産業さんの「おがくず」を使ってみたら、牛たちもリラックスしているし、床も清潔に保てて、香りも良いと大好評!

ヒノキの香りがする牛舎なんて、人も牛もみんな気持ちよさそうですよね。

「おがくず」が湿っていれば水分を吸いにくくなり、さらにカビや細菌が発生する原因にもなりますが、岸産業さんの「おがくず」はその点でも安心。

「品質が良い木材の「おがくず」のおかげか、病気の発生もなく信頼して使っている」と植村さんも喜んでいます。

牛が前脚を伸ばしているのはリラックスしている証拠
牛が前脚を伸ばしているのはリラックスしている証拠

“ごみ”が資源に変身!

「おがくず」は、牛のベッドに使われ、牛のふん尿と混ざり、たい肥(肥料)となり、畑で野菜や作物の成長を助け、次の食料へとつながっていきます。

植村牧場さんの堆肥舎
植村牧場さんのたい肥舎(牛のふん尿と敷料から肥料を作る場所)

町工場の“ごみ”だったものが、酪農の現場からその先の農業でも「資源」として大活躍しているのです。

そしてさらに、植村牧場さんでは牛乳を製造していて、瓶牛乳として販売されているほか、地元のカフェやホテルでも使われています。

みんなの食卓や、日常の食の楽しみにもつながっているんです。

植村牧場さんの現地でもソフトクリームをいただくことができます
植村牧場さんの現地でもソフトクリームをいただくことができます

工場も変わった!

「おがくず」に代表される敷料は、酪農家にとって牛の健康にかかわる大事なもの

岸産業さんの工場の中でも「“おがくず”から不要な“ごみ”はしっかり分別すること」や「木材の品質を管理すること」への意識が大幅にアップ。

しっかり分別される岸産業さんの“おがくず”
しっかり分別されている岸産業さんの“おがくず”

「自分たちの仕事が社会の役に立ってる!」と社員さんたちの士気が高まっているそうです。

今後は、他の牧場や町工場にもこの輪を広げていきたい!とみんな張り切っています。

乳製品の品質を守っている防熱扉

岸産業さんの防熱扉は、乳業工場の冷蔵倉庫にもたくさん使われています。

乳業工場では、乳製品の品質を守るため、冷蔵倉庫の温度管理にはとても気を付けています。

乳製品の品質を守っている冷蔵倉庫の防熱扉の製造が、牧場の牛の健康や、酪農家さんの経営を守り、野菜や作物の生産にもつながって、みんなの食卓をにぎわせている。

そう考えるとすごいな~と思いませんか?

「おがくず」でサステナブル
『「おがくず」でサステナブル』全体像

若いみんなへメッセージ

身近な当たり前を疑って、ちょっと視点を変えてみると、新しい価値が生まれるかも

身近な“もったいない”が、社会を変えるきっかけになるかもしれない」

岸産業さんの3代目社長の岸さんからは、「あきらめずに新しいことにチャレンジしてほしい」という熱いメッセージも届いています。

それぞれの営みが、社会の“ちから”になり、それが活力となって戻ってくる。

“それって、すごくすてきなことだな~”とミルカウ姐は思います!

まとめ

町工場と酪農の、「おがくず」がつなぐ未来。

“ごみ”だったものをリサイクルすることで、1か所だけではなく、たくさんの方向につながっていることが分かりました!

たったひとつをつなぐことで、そのつながりが大きく広がっていくって、本当にすてきなことですね!

社会のつながりは、ほんの少し見方を変えれば、つながっているものなのかもしれません。

今回ご紹介したのは1つの事例。

ほかにもたくさんのすてきなコラボや取組みがあると思います!

ぜひ「milushi みるし」に教えてくださいね!

それではみなさん、本日も~

< Good Luck Know(グッドラックノウ(酪農)~


【この記事で紹介している会社・牧場】

🌐岸産業株式会社 大阪府堺市堺区北波止町42番22

🌐植村牧場株式会社 奈良県奈良市般若寺町168


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