「全共」に行ってきました!
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少し時間が経ってしまいましたが、10月下旬に実施された「全共」に行ってきました!
「全共」とは
「全共」とは、「全日本ホルスタイン共進会」のこと。5年に一度開催される乳牛の美形※コンテストです。
※“乳牛の美形”のことをこの記事では「美人」と呼ばせていただきます。
今回は第16回で2025年10月25~26日(土・日)に北海道勇払郡安平町の北海道ホルスタイン共進会場で開催されました。
主催は一般社団法人日本ホルスタイン登録協会(ホルスタインもワンちゃんみたいに1頭1頭登録されているんですよ!)です。
「全共」は5年に一度の開催なのですが、前回はコロナ禍で残念ながらスキップ。
ということで、なんと10年ぶり。
主催者によると、会期中の来場者はのべ33,000人とのこと。
首を長くし過ぎてキリンのようになった牛好きさんたちが大勢集っていました。
「ホルスタイン共進会」は、乳牛の能力向上と酪農の発展を目的に行われる、ホルスタイン種の牛の品評会です。
審査は日本ホルスタイン登録協会の基準に基づき、月齢や経産状況ごとに骨格、乳房のバランスなどを評価します。
予選が各都道府県・地方で行われ、選抜された美人たちが全国から集まって競い合う場が「全共」です。
会場のようす
地方予選は家畜市場や畜産試験場で行われることが多いのですが、常設の共進会場があるのが酪農の一大拠点である北海道ならでは!
会場は大きく3つに分かれています。
1つめは本会場で、審査が行われる乳牛の晴れ舞台。


写真1枚目の上部に見えるのは、各都道府県の旗。
牛たちはパドックの中を時計回りに回って審査を受けます。

会場には審査結果が貼り出されています。
2つめはスポンサー企業などによる酪農資材器具展が行われるテントブース。
ブースの脇では削蹄(さくてい:蹄(ひづめ)の爪切り)のデモンストレーションも行われていました。
削蹄師さんの装束もカッコイイ!


そして3つめは審査を待つ牛たち(と酪農家さんたち)の待機場です。


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真剣な目つき(見えないけど)で毛刈り
牛たちや出品者、観覧者の熱気あふれる会場でしたが、10月下旬ということで、いつ雪が降ってもおかしくない空模様でもあり、寒かったっす…。
「全共」の審査と賞を解説!
「全共」では乳牛の種類、月齢とステージによって、全20部に分けられて審査が行われます。
第1部~第6部 ホルスタイン種の未経産(まだ子牛を産んだことがない牛)の部
第7部~第16部 ホルスタイン種の経産(子牛を産んだことがある牛)の部
第17部~第18部 ジャージー種の未経産の部
第19部~第20部 ジャージー種の経産の部
審査では、各部で順位がつけられ、上位は“優等賞”とされます。
ホルスタイン種では、各部の“優等賞”がさらに審査され、未経産と経産ジュニア(4歳未満)と経産シニア(4歳以上)の3つに大別されて、それぞれ1等賞が“名誉賞”、2等賞が“準名誉賞”に選ばれます。
そして名誉賞の3頭の中で、今回の最高位グランドチャンピオンが決められます。
ジャージー種では優等賞全体の中で名誉賞と準名誉賞がそれぞれ1頭選ばれます。
また、出品牛を会場で引き回す(リード)役を「リードマン」と呼びますが、リードの上手さを競う「リードマンコンテスト」も並行して行われます。
対象は高校生。
高校1・2年生の部と高校3年生の部に分けて審査が行われます。
約400頭の牛たちは、いずれ劣らぬ美人ぞろい。さて審査結果は!
【ホルスタイン種の部】
🏆最高位🏆
サニ-ウエイ アストロ マツカチエン(北海道 木村吉里さん出品)

🌸名誉賞🌸
未経産 ハツピ-ライン RT アンテロ-プ ルル(北海道 内田喜久男さん出品)
経産ジュニア ハイロ-ド ラムダ エクスタシ(北海道 小倉淳一さん出品)
経産シニア サニ-ウエイ アストロ マツカチエン
🌸準名誉賞
未経産 セジス ビユ-テイ クリ-メル サン ユニクス(北海道 高橋喜一さん出品)
経産ジュニア グランシヤリオ ラム ウオ-ク ダン アンネリ-ゼ ET(北海道 木村有斗さん出品)
経産シニア エリ- スマイル ユニキユア ET(北海道 (株)エスティリアデイリ-サ-ビス出品)
【ジャージー種の部】
🌸名誉賞🌸
経産 エムコラボ カジノ シエ-ングランツ(北海道 中嶋めぐみさん出品)
🌸準名誉賞
経産 SF カジノ M チエリー(北海道 (株)瀬能牧場出品)
(いや~牛の名前って面白いですね。この辺りはそのうち改めてコラムにしたいと思います。)
皆さんおめでとうございます!👏👏👏
約400頭の牛たちは、いずれ劣らぬ美人ぞろい。
各県での厳しい予選会を通過して本大会に臨んだ牛たちです。
順番をつける審査員も大変だったと思います。
ホルスタイン種の部では一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会の稲山 智明さん(元酪農家だそうです)が務められました。
本当にお疲れさまでした。
北海道での開催ということもあり、今回の審査結果は北海道チームが圧倒していました。
都府県の方々も素晴らしい牛たちを連れてこられましたが、北海道チームの厚い壁にはじき返されてしまいました。
それでも、各部審査では都府県の牛が一番になることもあり、関係者は大泣きしながら喜んでおられたのが印象的でした。
10年ぶりの「全共」振り返りと次回の開催に向けて
牛たちの中でも、
出品され審査されていることを意識しているように堂々としている牛、
緊張しちゃって委縮している牛、
興奮しちゃってリードマンの言うことを聞かない牛、
大勢の視線を浴びて審査会場を引かれている間も気にせずおしっこやウンチをする牛
などなど、
いろんな牛たちがいました。
みんなきれいに洗われ、毛刈りをされ、背中のラインをきれいに揃えられ、尻尾もきれいにセットされ(ふわふわに仕上げられてます)、おめかしを十分にほどこされた牛たち。
リードしている酪農家さんたちも、リードマンの服装は白で統一されていますが、誇らしげな方、緊張感を隠せない方、言うことを聞かない牛に汗みどろの方など色々。
個人的には最年長の牛に拍手喝さいを送っていました。
宮城県の半澤牧場さんが出品された「コインフア-ムス ドロシ- ET」号は、なんと平成26年(2014年)生まれの11歳、9産(9回子牛を産んだことがある)です。
大抵の牛は年を取ると背中の真ん中が落ち込んでいくのですが、この牛はきれいにまっすぐ。
大きな乳房を誇らしげにゆさゆさとしながらゆっくりと歩く姿が印象的でした。
今回は初めての試みとして公益社団法人 中央畜産会によってWebで配信がされていました。
また、同じく中央畜産会が「乳牛の見方入門」という冊子を作成し配布するなど、酪農家や関係者以外の方々にも興味を持ってもらうような取り組みも行われていました。
今回観覧して感じたのは、やっぱり牛は“キラーコンテンツ”だなってこと(無類の牛好きの見解です)。
中央畜産会さんによる冊子や配信の取り組みだけでなく、たくさんの一般の方にこのきれいな牛たちを見ていただき、牛たちに魅せられる機会を広げていくことが大切なように思いました。
次回は東日本での開催らしいですが、会場はまだ決まっていないそう。
せっかくなら5年後2030年の「第17回全共」は東京ドームあたりで開催し、牛乳乳製品の消費キャンペーンを一緒に行うなど、盛大にやったらどうでしょうね。





