とりあえずヨーグルトで!!茨城県小美玉市の「乳製品で乾杯条例」が、ガチすぎて面白い。

飲み会の最初の一杯。「とりあえずビール!」が日本の定番ですが、茨城県のある街では、その常識が通用しないかもしれません。
その街とは、茨城県小美玉市(おみたまし)。
なんと、「『乳製品で乾杯』を推進する条例」という、ユニークな自治体ルールが存在するのです。
今回は、この取り組みの裏側を探るべく、小美玉市役所へ突撃してきました。
農政課の外之内信浩(とのうち・のぶひろ)さんと、政策企画課の海保貴之(かいほ・たかゆき)さんに、街全体がミルクとヨーグルト愛に溢れすぎている小美玉市のディープな魅力と、そこから広がる未来の街づくりについてお話を伺いました。
- この街で「とりあえずビールで」は通用しない?
- なぜ作った?「乳製品で乾杯条例」の意外な真実
- 「ようこそ」の挨拶代わりがヨーグルト5本!?
- 全国から3万9千人が熱狂!「ヨーグルトサミット」
- 牛の名付け親になれる!?「体験」でつながる未来の街づくり
- 乳製品を片手にみんなで乾杯をしよう
この街で「とりあえずビールで」は通用しない?
茨城県の中央部に位置する小美玉市。実はここ、県内No.1※の生乳生産量を誇る「酪農王国」なんです。
※🌐農林水産省「令和5年市町村別農業産出額(推計)」より
そんな小美玉市で2014年に制定されたのが、通称「乳製品で乾杯条例」。
この条例、名前だけではありません。
市の宴席では、最初の乾杯は飲むヨーグルト。
「それって市の宴席だけの条例?」と思うかもしれませんが、市関係以外の宴席も対象です。
提携店舗14店で、予約時に伝えれば人数分の乳製品を乾杯のために用意してくれます。
さらに、店舗以外の乾杯にも、驚きのバックアップ体制があります。
市内の観光拠点「空のえき そ・ら・ら」内にある「小美玉ふるさと食品公社」で、「乾杯に使います!」と伝えて指定の飲むヨーグルトを購入すると、なんと100本未満なら1本30円引き、100本以上なら1本40円引きになるのです。
「みんなで乾杯するなら、安くするよ!」というこの太っ腹なシステム。
行政がルールを作るだけでなく、市民のお財布まで応援して「乳製品乾杯文化」を根付かせようとする、凄まじい本気度が伝わってきます。
なぜ作った?「乳製品で乾杯条例」の意外な真実
では、この条例はどのようにして生まれたのでしょうか?
実はここには、2つの“意外”が隠れています。
ひとつは、きっかけが行政ではなく、酪農の現場から上がった声だったことです。
地元の「美野里酪農業協同組合」から寄せられた「酪農をもっと盛り上げたい!」「地元のヨーグルトを知ってほしい!」という熱い思いが市を動かしました。
そしてもうひとつは、乾杯条例がわずか半年という期間で、議会にて可決・施行に至ったスピード感。
地域の情熱を行政が即座に受け止め、形にしたのです。
さらに2018年には、「来訪者を乳製品でもてなす」という新しい視点が加わり、単なるスローガンにとどまらない取り組みへと進化していきました。

「ようこそ」の挨拶代わりがヨーグルト5本!?
それが、「転入者へのヨーグルトプレゼント」です。
なんと、2019年から6年間、小美玉市に引っ越してきた人全員に、1人あたり5本の飲むヨーグルト(交換券)を配っていたのです!
小美玉市への転入者は年間約2,000人。
つまり、年間約1万本ものヨーグルトが、「ようこそ小美玉へ!」という挨拶代わりに振る舞われていたことになります。
また、過去には結婚式を挙げる時、申し込みがあれば参加者全員に乾杯用ヨーグルトを無料プレゼントするなど、人生の節目も「小美玉の乳製品」で祝ってきたことも。
これらの取り組みは、行政が本気で「乳製品でおもてなし」を実行していた何よりの証拠と言えるでしょう。

全国から3万9千人が熱狂!「ヨーグルトサミット」
こうした「地元の酪農・乳製品への愛」の精神は、2018年の「第1回 全国ヨーグルトサミット」開催へと繋がります。
「小美玉には生乳がある。でも、ただの牛乳じゃ差別化できない。それなら小美玉市でも作っている『ヨーグルト』で勝負だ!」。
そう考えた若手職員たちは、ヨーグルトサミットの開催を検討。
イベントをより良いものとするため、北海道から九州まで全国のご当地ヨーグルトメーカーを直接訪問し、出店交渉を行いました。
その熱意が通じ、当日は全国の名だたるご当地ヨーグルトが小美玉に集結。
「地方のイベントだし…」という予想を裏切り、2日間で約3万9千人が来場し、用意していた会場行きのバスには長蛇の列ができるほど。
会場は、職員たちの嬉しい悲鳴に包まれました。

牛の名付け親になれる!?「体験」でつながる未来の街づくり
サミットやプレゼントキャンペーンで知名度を上げた小美玉市。
「知ってもらう」だけでなく、「来てもらう」「関わり続けてもらう」ための新しい街づくりへとシフトしています。
その目玉となるのが、ふるさと納税を活用したユニークな返礼品、「仔牛の命名権」です!
寄付をすると、市内にある美野里牧場で生まれたばかりの仔牛に名前を付けられるだけでなく、仔牛の写真付き命名書やオリジナルカレンダー等が届きます。
「私が名付けた〇〇ちゃん、大きくなったかな?」と、遠くにいても親心が芽生え、小美玉市との絆が深まる仕組みです。
さらに、美野里牧場内にあるカフェで使えるフリードリンク券や、仔牛に実際に会うことができるなど、「モノ」を送るだけでなく、「コト(体験)」を通じて小美玉市のファンになってもらう。
これが、小美玉市が描く未来の酪農のあり方なのです。

乳製品を片手にみんなで乾杯をしよう
「とりあえずビール」もいいけれど、牛乳やヨーグルトでの乾杯には、不思議な温かさがあります。
ビールやお酒での乾杯は、どうしても大人が主役になりがちです。
でも、乳製品なら家族全員が同じものをグラスに注いで、同じ瞬間に笑顔になれる。
そんな「誰ひとり取り残さない乾杯」ができるのも、乳製品ならではの魅力です。
今夜の食卓や、次の飲み会。
あなたも小美玉流に、子どもも大人も一緒に「乳製品でカンパイ!」してみませんか?
いつもとはちょっと違う、優しい時間が流れるかもしれません。




