牛乳は余ってる?足りない?季節で変わる“生乳需給の謎”を解説!
みなさん、今年もよろしくお願いします。
今年のお正月は全国的に比較的穏やかな天候で、生乳生産も好調に推移したようですね。
そんななか、今回は「牛乳って余ってるの?足りないの?」という少々ディープなお話をしたいと思います。
「ついこの間まで“余ってしまうかもしれないから飲んでほしい”と総理大臣までもが言ってたのに、“今度は足りない”ってどういうこと?!」
乳業メーカーには、このようなお問い合わせをいただくことがあります。
そのあたりの解説を!
- 牛乳の世界は1年中ジェットコースター!?季節で激変“需給ドラマ”
- 夏、飲む人は増え、牛はバテる…!“ミルクパラドックス”の正体
- ミルクは旅をする。海を越え、遠方の工場へ。
- 給食が止まるとミルクも止まる!? 休みにひそむ“大きな谷”
- 土日こそ、ミルクの出番!“週末に牛乳が余る問題”を救え
- 休みの日に、ミルクをもう一杯。
牛乳の世界は1年中ジェットコースター!?季節で激変“需給ドラマ”
年の暮れからお正月にかけて、また3月下旬から4月上旬くらいまでの間というのは、生乳が大きく余る時期です。
一方で、6月から11月くらいの間は生乳が足りない!冷や汗をかく時期です。
1年の間で余ったり足りなかったりと、常にバタバタしています。
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その原因は、需要と供給(これを需給と言います)が合う時期がとても短いことにあります。
夏、飲む人は増え、牛はバテる…!“ミルクパラドックス”の正体
下のグラフをご覧ください(農林水産省「牛乳乳製品統計」2024年度より作図。以下同)。
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これは、都府県(北海道以外)での生乳の供給量と牛乳など※の製造に使われる量の月別変化です(※牛乳など:牛乳・成分調整牛乳・加工乳・乳飲料・発酵乳)。
分かりやすく1日の量で表しています。
グラフを見てみると、1月~4月は、生乳の供給量が牛乳などの製造に使われる量(需要量)を上回っています。つまり余っている時期です。
逆に6月~11月では需要量が供給量を上回っています。つまり足りない時期です。
暖かい(&暑い)時期は足りなくなって、涼しくなると余ってくるという状況です。
気温が上がると需要が増えるのは、水分補給や冷たい乳製品の消費が多くなるからですよね。
ところが、乳牛は暑さに弱く、夏場は生乳の生産量が下がります。
地球温暖化の影響もあって、年々暑くなっている夏場に、酪農家さんたちは暑さ対策(専門的には暑熱(しょねつ)対策と呼んでます)に取り組まれていますが、それでも生産量は減少してしまいます。
動物の生理ですから仕方ありません。
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ミルクは旅をする。海を越え、遠方の工場へ。
都府県で生乳が足りない時には、生産量が多い北海道から輸送して補っています。
輸送は20トン近い大型のタンクローリーに、冷やした生乳を積み込んで行っています。
北海道の釧路港から茨城の日立港を片道20時間で結ぶ輸送船、「ほくれん丸」などで運ばれています。
逆に、余る時は、脱脂粉乳やバターなど、日持ちする乳製品を製造します。
しかしながら、製造能力には限界があるため、余り過ぎると生乳の使用先がなくなり、廃棄しなくてはならなくなります。
そうすると酪農家さんは売り上げにならないので、そうならないよう、業界を挙げて対応しています。
これを「需給調整」と呼んでいます。
まだ製造できる工場があれば遠距離でも輸送するとか、牛乳製造工場の貯蔵量を増やすとか、ヨーグルトなど加工するものはいつもより多く生乳を使う処方に変えたりとか、対応方法はさまざま。
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いずれもコストアップになってしまうので、正直、痛手です。
給食が止まるとミルクも止まる!? 休みにひそむ“大きな谷”
涼しい~寒い時に生乳が余ってしまうのは、過ごしやすくなって牛の調子がよくなり、生産量が増えるのに、気温が下がって飲料や乳製品の消費量が減ってしまうから。
先ほどのグラフをもう1度見てみましょう。
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8月や12月~1月のところでぴょこんと需要がへこんでいますね。
少し分かりにくいですが、3月~4月も下がっています。(赤い矢印をつけました)。
なぜでしょう?
次のグラフを見てください。
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このグラフは牛乳など(牛乳、成分調整牛乳、加工乳、乳飲料)の月別の製造量を積み上げグラフにしたものです。
グラフの中に「学乳」とあります。「学校給食用牛乳」のことです。
学校給食用牛乳の製造量だけをグラフにしてみます。
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春休み、夏休み、冬休みの時期(赤い矢印)に大きく下がっています。
土日こそ、ミルクの出番!“週末に牛乳が余る問題”を救え
8月は暑いのに、学校給食がないだけで全体的に牛乳類の消費量が下がってしまいます。
夏休み時期は生乳の生産が少なく、余る量はそれほど多くないので、需給調整の手間は冬ほどではありませんが、冬休みや春休みの時期は、牛が元気いっぱいで生乳生産が増えているので、余る量が多くなり、問題となります。
つまり、学校給食のお休みが大きな原因のひとつと言えます。
学校が開校している期間には多くの人が給食で牛乳を飲んでいるのに、学校がお休みになると、家庭ではそれほど飲まれていないということでもあります。
非常に残念でなりません。
このグラフでは月別の変化を見ましたが、曜日別のグラフを見ると、学校がお休みになる土曜日、日曜日、祝祭日の時には、同じように生乳の消費が減少します。
そこで業界では、「土日ミルク」として、「給食のない休日はおうちで牛乳を飲もう!」というキャンペーンをしています。
学校給食用牛乳の製造量は、牛乳の製造量の全体からみると約1割あります。
これは年間合計での数字です。
年間の製造日数は、およそ180日と半年ほど。つまり、製造している日は2割ほどが給食用。
休日には平日の2割の消費が、日本全体として減ってしまっているということなのです。
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休みの日に、ミルクをもう一杯。
生乳生産量は季節で変化はするものの、連続した日で見るとそれほど大きな変化ではありません。
一方で、給食用牛乳の提供がある時とない時の変化の波は、休日でも毎日生乳を生産しているので、影響がとても大きいと言えます。
みなさん、休みの日には牛乳をもっと飲んでください!
ホットミルクや、クリームソースの料理など、本当は寒い時にも牛乳の相性はばっちりですよ!




