【ミルク流通】那須塩原のミルクが集結!那須高原クーラーステーションとは?

那須高原CS

「生乳生産本州一のまち」、栃木県那須塩原市。そこには毎日しぼりたてのミルクが集結する場所があるんです!
いったい どれくらいのミルクが、どうやって集まり、毎日何を行っているところなのでしょうか?
潜入調査してきました!
  1. 「生乳生産本州一のまち」の、ミルクがたくさん集まる場所って?
  2. ミルクがたくさん集まる場所、ドライブスルーができる
  3. ミルクが集まったら行う「受入前検査」とは
  4. 1日70回も受け入れるために必要なのは、細かなデータ管理!
  5. 「生乳生産本州一のまち」で働くみなさんの想い
  6. まとめ
 

「生乳生産本州一のまち」の、ミルクがたくさん集まる場所って?

「生乳生産本州一のまち」をイメージに、まち全体を活気づけている栃木県那須塩原市。

「生乳生産が本州一」って言うと・・・どのくらいのミルクがしぼられてるし・・・?

その量は・・・なんと年間17万トン!※

※令和2年度 167,626t。令和5(2023)年3月 那須塩原市 ミルクタウン戦略 ~ミルクでつなぐまちづくり~ 7p 生乳生産量の推移(那須塩原市農務畜産課調べ)より

17万トンと言っても、どれくらいか想像しにくいですよね。

25メートルプールでいうと、プールの水の量がだいたい500トンなので、340杯分

普通自動車でいうと、1台あたり およそ1.5トンなので、11万3千台分

身近なもので例えても、なかなか想像がつかないたくさんの量だし…!

年間17万トンとなると、日に平均すると465トン

那須塩原市では、25メートルプール 約1杯分のミルクが毎日しぼられているってことですね。

毎日たくさん生産されているミルク…那須塩原市には、そのミルクの多くが集結する場所があるのです!

それがこちらの「酪農とちぎ那須高原クーラーステーション」。

酪農とちぎ那須高原クーラーステーション
関東最大!酪農とちぎ那須高原クーラーステーション

「クーラーステーション」は、その地域の酪農家さんがしぼったミルクを集めて検査や保管を行い、検査に合格したミルクを乳業メーカーなどの加工する場所へ出荷する施設。

クーラーステーション(Cooler Station)」、略して「CS(シーエス)」と呼ばれることが多いです。

酪農とちぎ那須高原クーラーステーション(以下、那須高原CS)は、関東エリアで最大規模のCSです。

そんな施設に潜入して、「ミルクがどうやって集まるのか」、「集まったらどんなことをしているのか」を調べてきたし!

 

ミルクがたくさん集まる場所、ドライブスルーができる

那須高原CSは、酪農とちぎ農業協同組合という酪農家さんが助け合う「組合」が運営しています。

その組合に所属して、那須高原CSで所長をつとめている滝田(たきた)さんと、検査室の室井(むろい)さんに案内していただきました!

那須高原CSの滝田所長
酪農とちぎ農業協同組合 那須高原クーラーステーション 所長 滝田さん

滝田さん那須高原CSは、酪農とちぎ組合全体から見て、約70%のミルクを扱っています

滝田さん那須高原CSの最大の特徴は、ミルクを運ぶ「ローリー」というトラックがドライブスルー方式で通過できる仕組みがあることです

ドライブスルーって、〇ク〇ナルドとか・・・ケ〇〇ッキーとか・・・でよくあるやつし?

そうなんです。

ここ那須高原CSは、ミルクを運ぶローリーが一方通行で施設を通過していくことで、集めたミルクをローリーのタンクから回収してCSのタンクに移し、タンクに集まったミルクを別な大型ローリーに詰めて出荷することが、スムーズに行えるのです。

滝田さん酪農家さんがしぼったミルクをタンクにいっぱい詰めてきたローリーは、CSに到着すると待機レーンに並びます

那原高原CSドライブスルーの待機レーン4つ
那原高原CSドライブスルーに待機できるレーン 4つ!

滝田さん入っていたローリーが前に進んだら、待機していたローリーが中に入っていきます

那須高原CSのドライブスルー集荷・出荷のようす
ドライブスルーで同時に4台が入れます

ローリーを運転してきた運転手さんが、タンクの中からミルクを少し取り出しました。

写真では紹介できませんが、安全帯(命綱のようなもの)を付けてタンクの上に登り、タンクの中をよく混ぜてから少量ミルクを取り出していましたよ!

ローリーで運んできたミルクを検査へ
ローリーで運んできたミルクを検査へ

何本か手に持っているのが しぼりたてミルクっし!

 

ミルクが集まったら行う「受入前検査」とは

那須高原CS 検査室の室井さん
酪農とちぎ農業協同組合 那須高原クーラーステーション 検査室の室井さん

室井さんローリーのタンクから少し取り出したミルクは「サンプル」として、最初に検査室で検査をします

室井さんこれを「受入(うけいれ)前検査」といいます

那須高原CSに限らず、各地域にあるCSには、ミルクの検査室が必ずあります

ミルクの品質に異常がないことをローリー毎に確認し、その後、タンクからミルクを回収しています。

那須高原CSの検査室窓口
那須高原CSの検査室窓口に取り出したミルクを置きます

検査室の手前にある部屋へミルクのサンプルを持った運転手さんが入っていき、検査室の窓口に置きます。

ここから検査室の人たちが、サンプルのミルクの状態を検査します。

検査結果に異常がないことが確認できるまで、運転手さんは待機しています。

異常がないと判断されたら、すぐにタンクからミルクが回収されるように配管をつないで備えておくことも忘れません。

しぼったミルクは、とにかくデリケート。

ミルクがおいしくみなさんの手に届くためには、とても素早い対応が大切です。

ローリーの運転手さん、検査室で検査をする人、タンクからミルクを回収する操作をする人・・・
たくさんの人がチカラを合わせて、おいしいミルクをおいしいまま保つように頑張ってくれてるし!

室井さん検査室ではいろいろな検査を行っています

室井さん乳にふくまれる成分はもちろん、「どれくらい重いか(比重)」や、細菌や細胞の数など、6項目検査しています

CS内検査室の検査のようす
しぼったミルクに異常がないか、検査を行います

こんなに検査を行うなら、時間もかかるし?

室井さんサンプルが出されてから、およそ15分くらいで結果がそろいますかね…

室井さんなにせ、どんどんミルクが集まってきますからね

こんなにたくさんの検査、15分しかかからないっし⁉
すごいチームワークっし!

那須高原CSでは朝5時半から稼働し、20台ほどのローリーが3~4回出動して酪農家さんからミルクを運んでいるそうです。

1日に合計で70回、受入検査をしている計算になります。

CS全体では、9人ほどがスタッフとして毎日稼働するCSの運営を支え、検査室は5人ほどで運用を行っているとのこと。

牛さんが健康的に過ごすために、毎日必ずしぼる必要があるミルク。

ミルクを一挙に集めるCSも、毎日問題なく稼働しておく必要があり、さらに70回の検査をスピーディにこなしていく必要があるんですね。

室井さんたくさんのサンプルの検査を行うので、集中して漏れなく行い、自信を持って出荷できるようにしています

 

1日70回も受け入れるために必要なのは、細かなデータ管理!

スタッフがすみやかに検査を行っている横では、現在の状況がわかるように、情報が一元管理されています。

CSのデータが一元管理されているイメージイラスト
CSのデータ一元管理のイメージ

さらに、今日集まってきたミルクの情報、そして出荷したミルクの情報も一元管理されています。

滝田さん検査結果がすべて「異常なし」となれば、ここから「回収OK」のサインを出すことができます

さすが関東最大だし!
たくさん集まって、たくさん出荷する場所だからこそ、細心の注意がされているっし!!

ローリーから回収されたミルクは、いったんミルクを貯蔵する「貯乳タンク」で冷却保存されます。

那須塩原CSのミルク貯蔵タンク
那須高原CSのミルク貯蔵タンク(貯乳タンク)。240トンのミルクが貯蔵できます!
毎日この貯乳タンクの量以上のミルクを回収しているので、集まり次第出荷しないと間に合いません

そして大型ローリーに、あらかじめ予定されていた量を移していきます。

那須高原CSの出荷ローリー
那須高原CSで出荷待機するローリー車

室井さん出荷前には、CSで保存している間に品質の変化などがないか、「出荷前検査」を必ず行っています

滝田さん出荷前検査に合格しなければ、ローリーは出発することはできません

おいしく安全なミルクをみなさんに届けるため、受入前検査・出荷前検査の繰り返しの検査で細心の注意を払っていることが分かります。

ミルクが無事にCSを出荷したローリーは、予定されていた乳業メーカーの工場などに届きます。

そして工場でミルクを受け入れるときにも、また同じように、運ばれてきたミルクに異常がないか検査が行われるそうです!

 

「生乳生産本州一のまち」で働くみなさんの想い

毎日たくさんのミルクを受け入れて、安心でおいしい状態を保ち、自信を持って出荷している那須高原CSさん。

室井さんミルクは、酪農家さんが毎日2~3回、欠かさずにしぼってくれているものなので、大切に飲んでほしいなと思います

滝田さん栄養が詰まっているので、特に若い世代の方や、お子さんたちに たくさん飲んでほしいですね

酪農家さん、組合のみなさん、CSのみなさんの想い。

その背景にあるのは「飲んでくださるみなさんが、安心して おいしく飲めるように」という願いなのですね。

 

まとめ

「生乳生産本州一」の那須塩原市で、たくさんのミルクが集結する、関東最大のクーラーステーションである「那須高原クーラーステーション」の潜入調査、いかがでしたでしょうか?

ミルクがみんなの元に届くまで、本当にたくさんの工程があるんだし…!
それぞれの工程で、そのたびに検査を行うなんて、みんなに安全安心なミルクを飲んでもらいたい気持ちがあふれてるし!

  • ドライブスルーができるようにして、すみやかにローリーが通過できること
  • たくさんの検査が複数のスタッフさんで効率的に、短時間で行われていること
  • さまざまなデータの抜け漏れがないように、一元管理されていること
  • 検査結果で合格が出るまではミルクをCSに回収したり、出荷したりしないこと

たくさんのミルクを、安全にお届けするための工夫がいっぱいありました。

その背景にあるのは、「みなさんに、一生懸命しぼったミルクを おいしく安心して飲んでもらいたい」想い。

おいしいミルクを大切にたくさん飲むことが、ミルクに関わるみなさんへの想いに応えることになるんですね。

みんな、牛乳をたくさん飲もうし!


酪農とちぎ農業協同組合 那須高原クーラーステーション
〒325-0025 栃木県那須塩原市下厚崎5番地89


それでは本日はこの辺で~

ミルシ
ミルシ
Good Luck Know(ぐっどらっくのう / good 酪農)!

関連記事

前の記事へ

牛乳マニアのミルクマイスター®高砂って何者?